DIYフェスの作り方

AFTER LANDはオープンソース型の音楽フェスティバルです。出来る範囲内で全ての情報を開示し、今後あなたがイベントを企画したいと思った際の手助けになればと思います。

ただ、イベントの企画運営を行いながら少しずつ記載していくので、忙しくなった時には何も書けなくなる可能性が非常に高いです。


❶企画の概要をなんとなく決めよう!

【まずはどこでやりたいのか、どんな出演者を呼びたいのかをイメージしよう】

我々は当初、近所の屋内スケートパークで二日間に渡ったイベントを企画しようと考えていたぞ。

 

 

【ある程度イメージが固まってきたら、まずは場所のスケジュールや条件を確認しよう】

我々はかなり良い条件でスケートパークが借りられることを確認できたので、県外バンドにも声をかけ始めた。

 

 

【バンドへの条件の提示、またはバンドからの条件の確認をしよう】

バンドによってギャラや交通費は様々。先にこちらからイベントの趣旨や条件を提示するのが話が早く、アルカシルカが主体となった企画は基本的にゲストバンドのTシャツを制作してプレゼントしており、今後それを好きな金額で売ってバンド資金にしてもらえれば、本来渡せる金額の2倍〜8倍の金額が最終的に渡ることになるので、今回もそのような条件でバンドに声をかけた。

 

 

【バンドの予定やスケジュールも折り合いが付いたら、会場を正式におさえよう】

我々はほとんどのバンドから出演OKが貰えたものの、本来予定していた会場にトラブルがあったようで会場探しが一からになり、その結果、いくつか思い浮かんだ案の中から、何故か最もハードルの高い案を選択する事になり、それは近所の4車線ある大通りを通行止めにして路上フェスをやるという案だった。


❷企画書を作ろう!

まずは企画書を作らなければ始まらない

これまで、様々な場所で無許可ライブは行ってきたが、10組以上の出演者を招いている状態でイリーガルなパーティを行うわけにはいかない。

どうにか警察や行政を説得できる企画書を作り、公共性や公益性をアピールする必要がある。

また、公道を通行止めにするには個人の申請で行うことができないため、団体を作らねばいけない。

とりあえず我々は1秒で考えた「DIY実行委員会」という団体を名乗ることにした。

そしてさらに下記のような中身があるのか無いのかよく分からないけど、行政が喜びそうな言葉を並べた企画書を作ってみる。

ただし、この1ページだけでは必要な情報が足りないので他にもイベントを行う場所の簡単な配置図や安全管理のための組織体制表などが必要になってくる。 (※他の書類は後日公開する。)

 


❸必要な書類を申請しよう!

もしも公園や公道、広場でイベントを行うとしたら、それぞれ必要な書類や管理部署が変わってくるが、今回は公道でイベントを行う方法について記述していく。

企画書が完成したら、とりあえず警察署でも役所でもどこでも良いので行ってみよう!おそらく、めちゃくちゃ色んなところをたらい回しにされて心が折れてしまうだろう。
誰もがそのような仕打ちに耐えられる強い意志を持っているわけではないので、最短のルートを説明する。
基本的に路上でイベントを行うために絶対に必要な書類は「道路使用許可証」と「道路占用許可証」の2つとなるが、その二つを手にいれるために他の書類を手にれる必要がある。

 

そして、その2つの書類を得るために準備しておかなければいけない書類はまずはこちら。


事前に準備しておく書類

事前に必要となる書類を作るのは大変かと思うので、下記にデータを添付しておくので、テンプレートしてご利用はご自由に。


ダウンロード
企画書
企画概要や企画意図を掲載。
どこに行っても提出が必要。
企画書.pdf
PDFファイル 812.1 KB

ダウンロード
警備計画書
大まかな決め事。
会場周囲のマップ。
迂回ルートを記す。
警備計画書.pdf
PDFファイル 567.4 KB

ダウンロード
実行委員会会則
後援依頼を行う際に必要。
団体の証明をするもの。
役所からの後援だと収支計画書も必要となる。
実行委員会会則.pdf
PDFファイル 78.2 KB

公道イベントで入手するべき書類

【通り会からのイベント合意書】

まず最初にもらう

 ↓

【後援承認書】

次にもらう。文化芸能課や観光協会から

 ↓

【道路使用許可証】

上二つを手に入れたら警察署にて申請。

 ↓

【道路占用許可証】

県道か市道かによって行政の管轄が変わるので要確認。

 〜

【臨時営業許可証】

もしも、企画側でドリンクを売りたいなら必要。管轄は保健所。



行かねばいけないところ


市役所

今回、我々は県道の封鎖だったため役所と打ち合わせする必要はなかったが、一番先に役所で話をしておけば、今後他のところに行ったときに「市役所から先にあなたのとこで書類をもらえと言われた」と言って、たらい回しを防げる。また、担当によっては協力的な姿勢を見せてくれて様々な情報を教えてくれることもあるが、人によっては「あれはするな、これはダメ」と注文を付けてくる可能性もあるので、行政とはほどよい距離感を保つのが良い。



通り会

イベントのために道路を通行止めにするには地域の合意形成と公共性の証明が必要となる。そのため、封鎖したい道路の通り会や地域住民の同意書が必須となるが、今回開催するゲート通りは商業地区となるため、通り会にイベントの合意書をもらう事にした。通り会を通せば近隣店舗や住人への周知も行われ、地域との合意形成が取れた証拠になる。



観光協会・または市役所

通り会からの合意書が降りたことによって地域からの合意形成は取れたものの、警察署は慎重で、それだけではなかなか許可をしてくれない。そのため、地域振興などの公益性がある事を認めさせる必要も出てくる。ただ、役所などから許可を取らなければいけないが、役所は実行委員会の結成時期が1年以上ないと、活動実績が満たないとされるので、会則の結成日は一年以上前にしておこう。
我々は、その事実を知らなかったため役所との関係性はここで断ち切る事となり、観光協会からの後援でも公益性の主張はできるだろうと考え、観光協会から後援をもらうことにした。申請して1週間ほどで許可が下りる。



警察署

通り会からの合意書、観光協会(または役所)からの後援許可が降りたら、それらと企画書・警備計画書を持って警察署へ。
書類さえ揃っていればしぶしぶ許可を出してくれるだろう。
許可が降りるまでは1〜2週間ほどかかる。また、道路使用許可には約2500円ほどかかる。



土木事務所

今回は県道の使用だったため、県の管轄する土木事務所にて道路占用許可を取る必要がある。イベントに伴う通行止めの規制看板を事前に設置しないといけず、道路にテントや機材を設置するための許可と合わせて2つの申請をする。警備計画書には看板の設置位置などを記した地図も添付しておこう。こちらも許可が下りるまでに1〜2週間ほどかかる。



消防署 / 都市交通課(市役所)

こちらは特になにかを申請する必要はないが、道路を通行止めにすることによって緊急車両やバスにも影響が出るため、迂回路を伝える必要があるので、電話で一報を入れておこう。




❹収支の予測を立てよう

行き当たりばったりでガンガンやってしまうのも良いが、ある程度どのようなものにどれほどのお金がかかるのかを予測はしておいた方がいい。

準備段階で誰かがお金を建て替えることになったりもするだろうから、赤字になった場合や黒字の場合どうするかも含めてお金の流れは事前に取り決めておきたい。

ちなみに下記のAFTER LANDの収支計画書は準備段階で考えられたものになっている。実際の収支がどうなったかについては本ページの最後の方で公開する。


❺イベントの宣伝をしよう

上記の申請と並行してイベントの宣伝もしておこう。webサイトやSNSなどを活用するもよし、フライヤーやポスターを様々な店舗に配るのもあり。ただし、イベント協賛を取る場合は、宣伝の前に協賛のお願いをして告知物に名前などを載せることになると思うので告知より先に協賛集めをした方がいいかもしれない。
また、街の電信柱などにポスターを貼れるのはかなり熱いので、道路占用許可を申請する際には事前告知の掲示物の設置位置は多めに申請しておこう。


❻イベントの運営費を稼ぐものを準備しよう

チケット代を取るようなイベントの場合、そこまで労力を割く必要はないかもしれないが、今回AFTER LANDのイベントは無料となるため、資金はドリンク代と物販代で稼がねばならない。日付も差し迫っている中で、協賛を探している余裕はないため、物販をある程度充実させようと、Tシャツをプリントしたり、クージーや冊子を作ったりとした。こちらの制作費も最初にはお金がかかるため、誰かが建て替えねばいけないので、どうかご注意を。

それと、ドリンクもある程度在庫数を計算して近所の酒屋に発注したり、前もって買いに回ったりしなければいけない。


❼運営メンバーを探そう

一緒にイベントを運営してくれる人を探すことはとても重要だ。きっと、一人でできない事もないだろうが、見落とすことや、DIYでやる場合、どう考えても人手が足りない場面に遭遇する。そのため、一緒にイベントを作っていくメンバーは早い段階から探しておこう。


❽近隣へ挨拶回りしよう

近所への挨拶回りはとても大事!我々は近隣の苦情を避けるため、イベント開催のお知らせと共に「このチラシを持ってきてくれた方はドリンク一杯無料です」という感じで近隣の人も遊びに来やすい空気を作ろうとした。音楽自体はとてもうるさいものばかりだから、来やすいとは言い難いかもしれないが。


❽他にもイベント準備はたくさん!

上記には書いていないが他にもやることは細かくあるだろうが、大体はこんな感じでイベントは行える。

どうにか、あなたがやってみたいイベントがあればチャレンジしてみて欲しい。DIY実行委員会のメンバーに聞けば運営方法などは相談に乗れるし、協力できることもあるかもしれない。


▲収支報告▲

実際にイベントをやって最終的な収支はどうだったか気になっている人もいるかもしれない。そんなわけで、実際の収支を公開する。

支出

Tシャツボディ代 94,766円

ポスター印刷費 6,510円

冊子印刷費 24,530円

テント生地代 33,915円

ペンキ代 2,580円

シルクスクリーン版代 10,000円

道路使用許可の印紙 2,500円

ガソリン・高速代 10,000円

他雑費 30,954円

ドリンク仕入れ 140,947円

 

合計 325,748円

収入

物販売り上げ 121,280円

ドリンク売り上げ 155,947円

現金協賛 30,000円

当日投げ銭 37,019円

 

合計 354,246円



収益 +23,498円


今回のイベントの収益は無事、黒字となりました。運営の主要メンバーでの相談の上で今回の収益は次回開催のための準備金に回すことになりました。

また、今回イベントを行うにあたり、細々ではありますが募金も行っておりました。

 

戦争に巻き込まれた市民の生の声を残していくことはとても重要だと考えており、「ひめゆり平和祈念資料館」への寄付金が4,000円ありました。

こちらのお金は現在アルカシルカのCD付きZINE『忘戦歌 (ボーカルUの祖母の第二次世界大戦の体験記とそれにまつわる楽曲)』の売り上げの半額を寄付に充てており、そちらの売り上げとともに後日送金させて頂きます。

 

それと、もう一つ寄付を行っていました。現在パレスチナでは数多くの一般市民が爆撃などの被害を受けており、当然小さな子どもも例外ではありません。そういった子どもを救うための支援団体として活動している「パレスチナ子どものキャンペーン」及び「国境なき医師団」への寄付金は3,851円ありました。

こちらは、寄付活動を行っているodoribaを通して寄付をさせて頂きます。

 

今回、準備期間やボランティアスタッフの不足で、募金箱が目立たず、また周知などが足りなかったため、次回開催する際に何かしらの募金活動を行う場合、もう少し工夫していこうと考えています。